
中目黒に店舗を構えるチャイ専門店「モクシャチャイ」。
一杯の奥には、インドという土地、家族の記憶、海外で培われたプロダクトへの視点が重なっています。
その時間は、どこから生まれ、どのように店へつながったのか。オーナーの大久保玲夫奈さんに伺いました。
モクシャチャイという場所

【大久保玲夫奈(おおくぼ・れおな)】
モクシャチャイ オーナー。メーカーで海外営業として勤務し、ヨーロッパで市場開拓を経験。帰国後、インドにルーツを持つ背景と、家族の中にあったチャイの時間をもとに同店を立ち上げる。
佐藤:まず、モクシャチャイについて教えてください。どんなお店ですか?
大久保さん:中目黒にあるチャイ専門店です。店では一杯ずつ提供しながら、家でも淹れてもらえるようリーフやスパイスも販売しています。生活の中でも楽しんでもらいたいですね。
チャイは、火にかけたり、香りが立つのを待ったりする時間も含めて楽しむもの。手軽さも、少し手をかけることで生まれる時間も、その両方を届けたいです。
飲食の外から、チャイへ

佐藤:大久保さんは、もともと飲食の世界にいたわけではないとか。
大久保さん:そうですね。前職はメーカーです。コンプレッサーという、工場向けの空気圧縮機を扱う会社で、海外営業をしていました。
学生の頃から海外に住んでみたいという憧れがあったんです。そう考えると、留学か仕事しかない。だったら仕事で行こうと。前職の会社は世界中に拠点があって、インドにも工場がありました。面接では「インドに行きたいです」と言っていました。みんなインドに行きたがらないという情報を入手したので(笑)。だから、そこを強調しましたね。
入社してから3年後、インドではなくイタリア赴任のお話をいただいたのが大きな転機でした。携帯を渡されて「一人で開拓してこい。」と(笑)。オフィスを探すところからスタートし、自分で展示会に申し込んで代理店を開拓していく仕事でした。
佐藤:扱うものは工業製品からチャイへ変わりましたが、今にもつながる感覚はありますか。
大久保さん:繋がっています。自分でアポをとり、動いて、話をして、少しずつ広げていく。ものは違いますが、相手に伝わらないと届かないのは同じです。
モクシャチャイも飲食店ではありますが、僕の中ではチャイというプロダクトや、チャイを通じて生まれるくつろぎの時間を届けている感覚があります。
家の中にあった、一杯のチャイ

佐藤:なぜチャイだったのでしょうか。
大久保さん:ビジネス的な理由もありました。チャイはプロダクトとして小さいし、輸出入もしやすいし、賞味期限も長い。スモールスタートできるなと。
でも、それだけではなくて。インド人の父が、日本人の母にスパイスからチャイを作って淹れていて。今でも毎朝2時間ぐらいチャイタイムがあるんです。
朝ってバタバタするじゃないですか。
でも、父と母には2時間のチャイタイムがあった。
豊かで贅沢だなって、ふと思ったんです。
ただチャイを売るのではなく、その時間を作るためのプロダクトを届けたいと思いました。そういう時間があれば、家族と過ごす時間も増えるし、対話も生まれる。
チャイを通して、そういった時間を届けたいなって。
店舗という、背景に触れられる場所

佐藤:イタリア赴任の後、すぐに独立されたんですか?
大久保さん:いえ、会社員を続けながら会社を立ち上げました。さまざまな場所やイベントでのポップアップからのスタート。自分の中ではテストマーケティングでした。どんなお客さんが来るか、価格帯はどうか、感想はどうか、ニーズがあるかを直接見られたのは大きかったです。
佐藤:店舗を持とうと思ったきっかけは何だったのでしょう?
大久保さん:ポップアップの時に「お店はないんですか?」と、かなりの数聞かれました。その時に「ないんです」と答えるのが、だんだん後ろめたくなってきて。
お店があるかどうかで、お客様の受け取られ方が変わる感覚がありました。
本気かどうかを、お客さんは口には出さないけど見ている。
その表情がありましたね。
佐藤:今の場所は、どのように始まったんですか?
大久保さん:最初は2019年9月に、週1回の間借り営業として始まりました。その後、11月1日の「紅茶の日」にちなんで、チャイソーダを取材したいとテレビ番組からお声がけいただいたんです。それが最初のメディア出演でした。
翌年3月には「マツコの知らない世界」のチャイ特集でも取り上げていただいて。
そのタイミングで、全国に認知が広がった感覚があります。
それまでSNSでもコツコツ発信していたので、メディアで知った方がアカウントを見つけ、全国へ少しずつ届いていった感覚もあります。
佐藤:間借りではなく、正式にオープンすることになったきっかけはなんだったのでしょう?
大久保さん:コロナの真っ只中でした。飲食店にとっては厳しい状況でしたが、当時はオンラインでの注文に支えていただいていたこともあり、自分たちでできることを続けていました。そのタイミングで、前オーナーから物件を引き継ぐお話をいただいたんです。普通に考えれば簡単な判断ではなかったと思いますが、僕は逆に「ここがチャンスかもしれない」と感じました。
間借りではなく、空間全体を自分たちで持つことで、チャイを飲んでいただくだけではなく、モクシャチャイとしての空気や背景まで届けられる場所になるのではないかと。それで、今の空間全体を引き継がせていただくことになりました。
日常に開かれた、少し特別な時間

佐藤:これからのモクシャチャイについて、大切にしていきたいことはありますか。
大久保さん:チャイといえばモクシャチャイと思っていただけるようにしたいです。お店で飲んで終わりではなく、家でも淹れてみようと思ってもらえることが大切だと思っています。人々の日常に寄り添い続けたいですね。
佐藤:お店をご自身で運営していると、仕事と日常の境界が曖昧になることもあると思います。大久保さんご自身は、気持ちを切り替えるためにしていることはありますか。
大久保さん:意識的に旅行へ行くようにしています。忙しくても、年に2回は必ず予定を入れます。普段とは違う場所の空気や人に触れることが、新しい発見やアイデアにつながっています。
佐藤:気持ちを切り替えるものは、旅行のような大きな時間もあれば、日々の小さな所作もありますよね。LeiのKUON Perfumed Liquid Soapも使っていただいています。実際に手に取ってみてどんな印象がありましたか。
大久保さん:仕事から帰ってきたタイミングや、朝に使うことが多いですね。ふわっと優しく香る香りが、気持ちをリフレッシュしてくれる感覚に。
夜には気持ちが休まり、朝には気持ちが上がるんです。
編集部ノート
チャイは、飲み物でありながら、待つことを含んだ所作でもあります。
火にかける。
香りを待つ。
誰かと向き合う。
大久保さんの話には、遠い土地で人と関係を作ってきた時間と、家の中にあった一杯の記憶が重なっていました。少し立ち止まる所作を持つこと。それは、チャイを淹れる時間にも、手を洗い、自分を整える時間にも通じているのかもしれません。
大久保さんの気持ちをリフレッシュするLiquid Soapはこちら
モクシャチャイ Instagram:https://www.instagram.com/moksha_chai/
モクシャチャイ:https://mokshajapan.jp/
カフェモクシャチャイ中目黒
東京都目黒区東山1-3-6
10:30-19:00 不定休
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