
東京・湯島に構えるレストラン「RÉJOUISSANCE」は、六席のために一つのコースを組み立てます。
フランス料理を軸に、旬の食材に合わせて、パスタやうどんもコースに取り入れる。お客様の表情や食事の進み方を見ながら、皿を運ぶ間合いも、添える言葉も変えていく。
その夜、その六席のために、一つの流れを組み立てていく時間があります。厨房に立つ坂口司典さんに、料理人として歩んできた時間と、目の前の人に料理を届けることについて伺いました。
湯島、六席のRÉJOUISSANCE

【坂口司典(さかぐち・かずのり)】
RÉJOUISSANCEシェフ。エコール辻大阪でフランス・イタリア料理を学び、フランスでの研修を経て上京。都内の二つ星フレンチに5年間勤務した後、国内外で出張料理を経験。現在は東京・湯島のRÉJOUISSANCEで料理を手がける。
佐藤:RÉJOUISSANCEは、どんなお店か伺わせてください。
坂口さん:RÉJOUISSANCEはフランス語で「祝祭」という意味があります。料理はフランス料理を軸にしていますが、ジャンルにとらわれすぎず、パスタや、時にはうどんをコースに取り入れることもあります。店名に込められた「祝祭」を料理と空間で届けるべく、その時の旬の食材をどうすれば一番おいしくできるかを考えながら、一皿ずつコースを組み立てています。
1人1人のお客様と向き合い、豊かな時間を過ごしていただくために、席数もあえて6席と絞ってご案内させていただいています。
佐藤:六席だからこそ、できていると感じることはありますか。
坂口さん:料理を出すだけではなく、その日の会話や空気感まで含めてコースを組み立てられる。よりパーソナルな体験をつくれることですかね。
お客様の食べる速度や表情を見ながら、提供のタイミングや食材についての話、次の一皿へのつなぎ方まで細かく調整しています。
コースは比較的ボリュームがあるので、できるだけ料理と料理の間を空けないようスムーズにご提供することを心がけています。ただ、食べる速度は人によって違います。その場の空気に合わせてコース全体を少しずつ変え、最後まで気持ちよく食べていただくようにしています。
パスタから、フランス料理へ

佐藤:料理に興味を持った最初のきっかけは何だったのでしょうか。
坂口さん:祖父母が外食好きで、小さい頃からよく一緒に食事へ行っていました。料理人になりたいと思った直接のきっかけは、小学校5、6年生の頃に見たドラマの『バンビ〜ノ!』です。
松本潤さんが主演のドラマで、当時の僕にはとてもカッコよく映っていました。それからパスタに夢中になり、レシピ本を買ってもらって、最初のページから最後のページの料理まで順番に作りました。当時は全然上手に作れなかったと思うのですが、家族がいつも「おいしい」と言いながら食べてくれた。それが一番の糧になっています。
佐藤:最初に興味を持ったのはイタリアンだったんですね。そこからどのようにフレンチに興味を持ったのでしょうか?
坂口さん:専門学校に入った時は、イタリア料理人になるつもりでした。フランス料理とイタリア料理を一年間学ぶコースだったので、フランス料理も勉強し始めたんですが、ソースの組み立てや技術がより複雑で、学ぶほど面白くなっていきました。
難しさに、かえって惹かれた感じですね。イタリア料理の料理人も、フランス料理の技術を取り入れることがあると知って、それならまずフランス料理を深く学びたいと思いました。
料理人として、前に立つ

佐藤:専門学校を卒業した後は、どのような道を歩まれたのでしょうか。
坂口さん:専門学校の上級課程でフランスへ行きました。最初の半年はリヨンの学校で料理を学び、その後の半年は別の街に移り、レストランで研修生として働いていました。
料理の技術以上に、現地の文化や、人の明るさ、開かれた空気に触れられたことが大きかったと思います。
日本へ戻った後は東京へ出て、「ピエール・ガニェール」という、ミシュラン二つ星のフレンチレストランで5年間働きました。料理の技術だけでなく、料理をどう考えるか、料理人として何を大切にするかも、そこで学びました。自分の土台は、その5年間でつくられたと思っています。
10人、15人ほどいる厨房のなかで、自分が料理をつくるだけではなく、周囲を見ながら現場を動かすことを段々と求められるようになりました。
そこで、自分自身が進みたい方向との違いを感じたんです。管理する立場になるよりも、さらに自分が前に立ち、メニューを考えるところから料理を届けるところまで、全体を担いたいと思いました。
自分が料理人としてどう成長できるか、そこだけを考えていましたね。
後先考えず勢いで店を辞め、出張料理人をすることになりました。
佐藤:なぜ、出張料理だったのでしょうか。
坂口さん:知人の食事会で料理をつくったことが始まりでした。
食べてくれた方が喜んで、「今度は自分の家でもやってほしい」と声をかけてくれたんです。そこでつくった料理を見た別の方から、また依頼をいただく。そうやって、人から人へ少しずつ広がっていきました。
お店では多くの料理人のなかの一人でしたが、出張料理では、お客様の希望を聞き、メニューを考え、仕入れ、調理、提供まで、ほとんどを自分一人で担います。
料理の一部分ではなく、最初から最後まで考える。
その経験は、自分が求めていた働き方に近かったんです。
その時に出せる、一番良いもの

佐藤:出張料理や海外での経験は、今のRÉJOUISSANCEにどのようにつながっていますか。
坂口さん:出張料理では、メニューを考えるところから仕入れ、調理、提供まで、ほとんど一人でやっていました。海外にいた時は、市場を歩きながら食材を見たり、お客様から食べたいものを聞いたりして、その都度メニューを組み立てたり。
何年もメニューを考え続けてきたことや、一人で料理全体を担ってきた経験は、今の店にも生きていると思います。
佐藤:環境やお客様に合わせて、その都度一つのコースを考えてきたんですね。今、料理をつくるうえで大切にしていることは何でしょうか。
坂口さん:妥協しないことです。常に、その時に出せる一番良いものを出すこと。考えているのは、お客様に喜んでもらえるかどうかです。
出張料理の時から、お客様に合わせてメニューを考え、目の前で反応を見ながら料理を出してきました。今は六席だからこそ、一人ひとりと向き合いながら、コース全体を考えることができていると思います。毎日新たなチャレンジをしている感覚で、日々がとても楽しいです。
食事のあとに残るもの

佐藤:KUON Perfumed Liquid Soapを使ってくださっています。実際にお店で使ってみて、どのように感じていますか。
坂口さん:ほのかな香りで、手を洗った後にも強く残りすぎないところが気に入っています。空間にも自然に馴染んでいますし、お客様から「ハンドソープの香りがいいですね」と言っていただくこともあります。
食事の後に使うものなので、ふわっと心地よく香るくらいなのが、店としても使いやすいです。
編集部ノート
料理の完成は、皿が置かれた瞬間ではないのかもしれません。食べる速度、表情、交わされる言葉。
それらを受け取りながら、次の一皿の間合いが決まっていく。
六席の近さが生むのは、その夜にしかない流れ。
皿の上に現れるものだけでなく、目には見えない時間まで想像すること。ものづくりもまた、そこから始まるのかもしれません。
RÉJOUISSANCEさんに置かれているLiquid Soap
RÉJOUISSANCE Instagram
RÉJOUISSANCE 公式Web
坂口さん Instagram
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