変わりながらも、残るもの|八百屋「yoloz」代表 片山由隆さん

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八百屋「yoloz」の店内で、木箱に並んだ野菜の棚の前に立って話す片山由隆さん

「自分はこういう人間だ」と、最初から決めなくてもいいのかもしれません。

留学支援、営業、政治家秘書、医療、農業、そして八百屋。仕事の領域は何度も変わってきました。場所を変えながら、何が残ってきたのか。これまでの経験と、今の考え方を聞きました。

領域を越えて

青空と大きな木を背景に、遠くを見つめる片山由隆さん

【片山由隆(かたやま・よしたか)】
八百屋「yoloz」代表。営業や事業開発を経て農業・青果流通に携わり、yolozを立ち上げる。現在はブランディングや事業プロデュース、動画制作など、領域を横断して活動している。

佐藤:まず、今の活動について聞かせてください。現在はいくつかの取り組みに関わられていますよね。それぞれ、どのようなことをされていますか?

片山さん:大きくは、yolozとMES PROMOTION、それからEmpaCですね。

yolozは、もともと食の会社として始めました。
八百屋やケータリングのほか、月替わりの旬の果物を使ったチーズケーキをご家庭に届ける「旅するチーズケーキ」などのブランドを運営しています。今は食に関するブランディングやプロデュースの仕事が中心ですね。

MES PROMOTIONは医療業界向けの動画制作の会社です。ただ動画をつくるだけではなくて、マーケティングの視点を入れて、その事業をどう伸ばすかというところまで関わっています。

EmpaCでは、SNSマーケティングを中心とした事業に関わっています。今は一番時間を使っている仕事ですね。

佐藤:食、映像、SNSと、扱っているものはかなり違いますよね。片山さん自身は、それぞれの仕事をどう捉えていますか?

片山さん:僕の考え方では、基本的に全てがマーケティングなんです。どうやったらお客さまに一番よいかたちで、ものやコンテンツが届くかを考える。必要なら立ち上げから関わる、ということを全ての取り組みで考えています。

ただ、最初からマーケターになりたいとか、キャリアをこうしようとかは考えたことがなく、ご縁を大切にしながらいただいた目の前の仕事に没頭していたら今の人生になっていました。

型を持たない選択

「The SALAD BAR」と刺繍されたエプロンを着けて、笑顔で話す片山由隆さん

佐藤:今の活動も幅広いですが、ここに至るまでの道のりも気になります。どんな選択を重ねてきたのでしょうか?

片山さん:最初は仕事のことをほとんど考えてなかったです。大学時代はプロサッカー選手になりたくて、イギリスの大学に通っていました。卒業が近づいた頃に怪我でサッカーを辞めて日本へ戻ることになりました。その時は、新卒でもないし、やりたい仕事が決まっていたわけでもなくて。「自分は何なんだろう」というところからスタートしましたね(笑)。

帰国後、最初に就いたのは、自身の留学経験にも近い、海外留学を支援する仕事でした。けれど、一か月ほどで辞めています。海外を目指していない学生に、「海外の方がいいよ」と留学を勧めるようなところがあって。それがすごく嫌だったんです。

その次に、何ができるかも分からない中で始めたのが、飛び込み営業でした。訪問した先がたまたま営業の会社で、「それだけ飛び込みができるなら、うちで働いた方がいい」と声をかけられ、そのまま入社することに。そこで担当したのが、通信機器の電話営業でした。

半年ほどすると、今度は知人から、開店するカフェの店長を任せたいと声がかかります。「店長、楽しそうだな」と思って。それでカフェで働くことになりました。

カフェの後も、小さな会社の立ち上げ、政治家秘書、植物工場の事業開発、外資系企業、医療業界と、場所は変わっていきました。

挑戦の全てが未経験の業界でしたが、やっていることはそんなに変わっていないと思っています。どのような仕事でも、結局人対人の関わりの中で進める必要があるし、相手のために行動することは変わりません。なので、業界の違いはあまりハンデだと思っていなくて。

知らない場所に入れば、そこで一番の先輩に質問して、学べばいい。全力で物事に向き合えば、知識は簡単に手に入ると思っています。

繰り返すことで、見えてくるもの

ビニールのトンネルが並ぶ冬の畑で、生産者の女性を囲んで話を聞く片山由隆さんたち

佐藤:これまでいろいろな仕事を経験されていますが、今振り返って、一番やっておいてよかったと思う仕事はありますか?

片山さん:電話営業ですね。あれだけ地味なことでも、やり方を変えるとちゃんと結果が変わる。そういう経験ができたのが大きかったです。人に言われたことを試してみたらよくなるとか、そんな成功体験を一番積めたのが電話営業でした。

当時扱っていたのは、ビジネスフォンやFAXなどの通信機器。渡されるのは電話番号のリストで、一日に何百件もの電話をかけました。研修は数日ほど。その後は、実際に電話をかけながら覚えていきました。

分からないことはもちろんありました。その時は、できる先輩に「教えてください」って素直に聞いていたのがよかったなあと。言われた通りにやってみて、お客さまから違う反応が返ってきたら、それをまた先輩に聞く。それを延々と繰り返していました。

一方的に電話を切られたとしても、普通にもう一回かけてましたね(笑)。「まだ何も話してないですよ」って(笑)。

今振り返ると、当時は「人から学びながら、自分で確かめることを覚えた時間」でした。

最初は何も分からなくても、先輩に聞いたことをお客さまに持っていくと、また違う答えが返ってくる。それを持ち帰って、また聞く。それを繰り返していると、未経験の分野でもかなり詳しくなれるんですよね。

伝わるかたちを探す

住宅街の坂道で、横を向いて笑顔を見せる片山由隆さん

佐藤:そうした経験を重ねてきた今、仕事をする上で大切にしていることはありますか?

片山さん:「一番伝わるかたちで相手に届けること」について、よく考えています。今はSNSやブランディングの相談を受けることも多いのですが、話を聞いていると、発信する側の一方通行のメッセージになってしまうことが多くあります。

そういう時は、「どこまでそのこだわりを捨てられますか」と聞くようにしています。

佐藤:こだわりを捨てる、というのはどういうことですか?

片山さん:自分たちがやりたいことをそのままやりたいなら、それでもいいと思うんです。ただ、本当に世の中へ何かを届けたいなら、相手が受け取りやすいかたちに変えないといけないこともあると思っています。

僕の中では、ブランディングって、一度その商品やサービスを体験した後に、「ああ、だからこれがいいんだ」と思って、また選びたくなるもの。

その手前で、まず知ってもらったり、興味を持ってもらったりしないと始まらない。自分たちが伝えたいことと、相手が受け取るもの。その二つは、いつも同じとは限りません。

だからこそ、残したいものは持ちながら、その見せ方や届け方は相手に合わせて変えていく。伝えるためのかたちにも、ひとつの正解を置かずにアプローチすることが大切だと思っています。

理由を求めずに先へ

和紙のランタン型ライトとサボテンの鉢の間に置かれた、Leiのルームスプレー「Green Symphony」

佐藤:これから先、挑戦してみたいことはありますか?

片山さん:やりたいことはたくさんありますよ。立ち飲み屋もやりたいですし、サッカーチームも運営したいなと考えています。

これまでの仕事と同じように、次に何をするかも、ひとつに決めているわけではありません。

その時に面白いと思ったものがあれば、まずやってみたいですね。構想は考えていますが、人とのご縁もあるので少しずつ形にしていきたいと思っています。

佐藤:仕事についていろいろ伺ってきましたが、最後に少し日常のことも聞かせてください。LeiのRoom Sprayを使っていただいていますが、普段はどんな時に使っていますか?

片山さん:朝ですね。出かける前に服に使ったり、空間に使ったり。会社に来た時は、みんなが出社する前にも使っています。

やっぱ、いい香りっていいよねって思いますね(笑)。

マーケティングと違って数字で表せるものではないですが、気分がよくなると、いろいろなところで好循環が生まれる気がして。何かに取り組む時でも、イライラして取り組むのと、気分よく取り組むのでは結果は変わるように思います。

使ってて、そんなことを思ったりしています。

最後の質問です。

あなたにとって0へ戻る瞬間はどんな時?

サッカーをした後に、サウナで整った瞬間。— 片山由隆

編集部ノート

片山さんの話を辿っていくと、まったく違う場所に見えていた仕事の間に、同じ動きが何度も現れます。

自分のやり方を守ることより、その時、その相手に届くかたちを探すこと。

変わりながらも残っていくものは、香りのように、目には見えないところにあるのかもしれません。

yoloz 公式Web

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この記事を書いた人

Nobuaki Sato

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He was born in Kanagawa, Japan.
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