ラグジュアリーと抹茶|オーガニック抹茶ブランド CEO 神山ナオミさん

着物姿で抹茶を手渡すオーガニック抹茶ブランド「KAGUYA. Style」代表・神山ナオミさん

今回は、オーガニック抹茶ブランド「KAGUYA. Style」代表を務め、数々のブランドの立ち上げやクリエイティブディレクターとして活動する、神山ナオミさんにお話を伺いました。

神山さんの抹茶は、イタリアの高級宝飾ブランドBVLGARIが運営する「BVLGARI Ginza Dolci」など国内外のラグジュアリーホテルやレストランで採用されています。また自身でも神谷町トラストタワー2Fにある抹茶カフェ「神米茶寮」の運営や、お茶会を主催し「抹茶」を世界に広め、お茶を通して日本文化の魅力を広げられています。

一杯の抹茶を入口に、文化や精神性をどのように現代へ届けているのか。なぜ、いま抹茶はラグジュアリーと結びつくのか。神山さん自身のルーツと、抹茶を世界へ届けるまでの歩みを伺いました。

なぜ、いま抹茶はラグジュアリーと結びつくのか

障子越しの光が差す和室で、茶道の所作として抹茶を点てる着物姿の神山ナオミさん

【神山 ナオミ(かみやま  なおみ)】
オーガニック抹茶ブランド「KAGUYA. Style」CEO。抹茶を起点に茶道文化を“体験”として再編集し、国内外へ発信するクリエイティブディレクター。神谷町のトラストタワーにあるカフェ「神米茶寮」運営やお茶会主催も手がける。2025年にはAsia Women’s Friendly Brands Summitで現代茶人として表彰される。

佐藤:神山さんの活動内容について教えてください。

神山さん:”食・癒・学・創”の4つの柱を軸に、抹茶ブランドKAGUYA. Styleを通して、日本茶や茶会を通じた日本文化の精神性を国内外に発信しています。

抹茶の魅力は、味だけではありません。点てる所作や、間、空気感まで含めて、はじめて文化として成り立つものだと思っています。だから「飲む」だけで終わらせず、その時間ごと体験してもらいたいんです。

佐藤:神山さんの抹茶は「BVLGARI Ginza Dolci」でも採用されているとか。世界での抹茶の立ち位置はどうみていますか?

神山さん:希少で価値の高い飲み物であることに加え、茶道という「道」そのものが注目されていると感じます。抹茶を点てる所作や、おもてなしという一連の行為に、文化的価値を見出している方が多いですね。

佐藤:BVLGARIのようなラグジュアリーブランドは、抹茶のどこに本質的な価値を見出しているのでしょうか。

神山さん:分かりやすい希少性や品質だけでなく、精神性や体験そのものへの関心が大きいと思います。抹茶を点てる時間には、自然と心が静まり、自分の内側へ意識が戻っていく感覚があります。味のおいしさだけでなく、空間、所作、静けさの中で五感が研ぎ澄まされていく、その体験全体が評価されているのだと思います。

抹茶が提供しているのは、商品そのものというより、今を丁寧に味わうための時間です。そうした静かな贅沢が、ラグジュアリーと響き合っているのだと思います。

茶道には「一座建立」「一期一会」という考え方があります。その場、その瞬間、その人のために空間と時間を整える。ラグジュアリーにおける茶道の導入も、単なる和の演出ではなく、商品を消費する時間から、記憶に残る体験へ変えるための設計なのだと思います。

韓国人の母に育てられたからこそ深堀できた日本文化

茶畑で新芽に触れながら歩く神山ナオミさん。抹茶の原料となる茶葉の産地風景。

佐藤:抹茶を通して、日本文化を世界へ伝えたいと思うようになった原点は何ですか。

神山さん:韓国出身の母の影響が大きいです。今では全くイメージないと思うんですけど、母の世代は韓国人への差別が今より強く、日本語も話せない中で日本に暮らしていました。私を日本人として育てたかったのからか、韓国文化ではなく、なるべく日本文化に触れさせようとしているのを感じていましたね。着付けや華道、職人のものなど、日本文化に触れる機会を多くつくってくれました。

母の苦労も見てきた分、今思うと当時は「私が日本文化を身につけて母の力になりたい」という気持ちが強くありました。学ぶほどに、自分が日本人でありながら知らないことの多さに気づき、それがさらに探究心を強くしていった気がします。

遠回りが残したもの

屋内で茶筅を使い、抹茶を点てる神山ナオミさん。お茶会での一場面

佐藤: 子供の頃からお茶を軸に事業をしたいと思っていたんですか?

神山さん:当時は特にお茶にこだわっていなくて。ただ、子供の頃から「社長になる!」と決めていましたね。母の影響が大きいです。商売が身近にある環境で育ったので、自然と「自分に何が出来るか」ということを考えていました。

高校卒業後、18歳で起業し、ビジネス英語スクールを立ち上げました。当時から、国や文化を越えて価値を伝えることに興味があったんだと思います。

佐藤:そこからどう抹茶に?

神山さん:ある時、海外の方に日本文化を紹介する機会があって、その中でも茶道への関心がとても高かった。それが、私自身が改めて日本文化、とくにお茶について深く学びたいと思うきっかけになりました。

その後2012年に、これから抹茶ブームが来るという直感が働いてニューヨークへ移住することを決めたんです。「アメリカでお茶文化を広めたい!」と意気込み茶道具一式を揃えて渡航したのですが、現地で出会った方と結婚することになり、予定外のアメリカ生活になりました。その後、子どもを授かり、移住した当初の予定とは全然違うNY生活に。ただ、その間もビジネスから完全に離れることはなく、現地でイベントを企画したり、抹茶を通じた仕事を少しずつ続けていました。

佐藤:その環境から、やりたいことを形にしていったんですね。

神山さん:当時は「遠回りしているな」と思うこともありました。でも振り返ると、その時々でできる最善を尽くしていたからこそ、今の自分があるのかな、と。コロナで空港閉鎖する直前に運良く本帰国し、数年後に抹茶ブランドを立ち上げました。

日常に戻る、その前に

陶器の香皿に立てたお香と天然石。日常を整えるための静かな道具。

佐藤:抹茶や茶道が“心を整える行為”だとしたら、香りにも近い働きがあるように感じます。Lei Incense Collectionをご利用いただきありがとうございます。Leiの香りはどのように使ってくださっていますか。

神山さん:Fig Royalのお香を、外から帰った時や気持ちをリセットしたい時に焚いています。新鮮ないちじくの香りが上品で、心とその場所が清められるように感じます。その日の気分や状態に合わせて、香りを使い分けるのも楽しみです。

佐藤:気持ちを切り替えるための装置みたいな感覚ですね。神山さんにとって、香りとはどのようなものですか?

神山さん:目には見えませんが、気持ちや空間を一瞬で切り替えてくれますよね。過去にアロマの勉強をしていたことがあるのですが、学べば学ぶほど香りの効果に驚かされました。

同じ香りでも、その日の状態によって感じ方が違います。好きな香りに癒やされたり、元気をもらったり。私にとって、香りは日常に欠かせないものになっています。

編集部ノート

神山さんの話には、目に見えないものを整える手つきがありました。
所作や間、空気感——語られない部分に、その人の美意識が残る

神山さんが日常の中で使っているお香もまた、特別な演出のためではなく、自分を元の位置へ戻すための静かな道具なのだと感じました。

神山さん Instagram
KAGUYA. Style Instagram
KAGUYA. Style 公式Web

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この記事を書いた人

Nobuaki Sato

Brand Manager of Lei
He was born in Kanagawa, Japan.
A polyglot fluent in Japanese, English, Italian, Spanish, French, and Portuguese. Lived in Italy and Spain to play Football. Joined Lei in 2022 after being inspired by Lei00

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