語られなかった背景。明るさの裏側にあるもの。
そうした部分に目を凝らすことで、はじめて立ち上がる価値もある。
Leiは、「陰翳礼讃」という考え方を通して、ものや空間だけでなく、ブランドや人の在り方にも向き合っていきたいと考えています。
私たちのインタビュー記事では、その思想に共鳴するブランドや人々の仕事、そして生き方を、静かに掘り下げていきます。
目に見えないところで、また来たくなる。— まつ毛&眉毛サロン「Muu lash & brows」が大切にする“心地よい時間“

まつ毛と眉毛。顔の印象を決める仕事には、目に見えるものだけでは完結しない時間があります。施術の精度、距離感、呼吸、空気。
三軒茶屋にある、まつ毛&眉毛サロン「Muu lash & brows」が大切にしているのは、“心地よい時間”でした。今回はオーナーの村瀬麻莉亜さんに、Muu lash & browsの裏側と、そこで香りが果たしている役割について話を伺いました。
ゆっくり、丁寧に、オーダーメイドな接客 | 心地良さの作り方

【村瀬 麻莉亜(むらせ まりあ)】三軒茶屋のまつ毛&眉毛サロン「Muu lash & brows」オーナー。名古屋の総合サロンで経験を積み、豪州シドニーでのワーホリを経て上京。2020年に独立開業。まつ毛パーマと眉毛に特化し、丁寧なオーダーメイド施術を大切にする。
佐藤:まずMuu lash & browsについて、どんなサロンなのか教えてください。
村瀬さん:完全個室のプライベートまつ毛&眉毛サロンです。基本的には継続的に通ってくださるお客様と、ご新規様はご紹介のみで施術をさせていただいています。
佐藤:そうされている理由はなにかありますか?
村瀬さん:一度来てくださったお客様は大切にしたいので、次の予約を取りやすくするためです。回転率を上げることはあまり考えず、一人一人のお客様に向き合えるよう、時間にゆとりを持った内容で施術しています。
佐藤:回転率を上げない?
村瀬さん:お店をオープンしてからすぐ、ありがたいことにたくさんのご予約をいただきました。その時は今よりも忙しく動いていましたが、どこか違和感を感じていたんです。
施術は増えても「お客様のことあんまり知れてないな」って。そこからお客様と程よい距離感でコミュニケーションをとるよう意識し始めました。そのタイミングで、施術は練習すれば上達するのですが、お客様が心地よく過ごせるのって、案外技術以外のところにあるんだな、って感じたんです。回転率を上げることよりも、お客様に満足していただくことの方が大切だなって。
佐藤:お客さまとの距離感を大切にするようになった、きっかけはありますか?
村瀬さん:自分がお客さんになった時、店員さんやスタッフさんのコミュニケーションが気になることがあって。近すぎると息苦しさを感じるし、距離があり過ぎても冷たさを感じることってあったりしませんか? なので接客中には「自分がされて心地よいか」という視点で接するようにしているんです。マンツーマンだからこそ、親しき中にも礼儀ありかなと。
Muu lash & brows ができるまで

佐藤:独立を決断したきっかけはなんだったんですか?
村瀬さん:お店を開いたのが5年前なのですが、その当時は29歳でした。30歳になる年に改めて自分の人生を振り返ってみて、新たな挑戦がしたくなったんです。
佐藤:大きな決断ですね。
村瀬さん:性格もあると思います。やりたい事に対してはすぐに動ける方でした。25歳の時にオーストラリアへ行ったのですが、行きたいと思って気づいたら航空券を取っていました。「せっかく海外で働いたりしてキャリア積んできたんだから、チャレンジしないともったいないな」って。自分の得意なことで勝負したい気持ちが強く出たんだと思います。
佐藤:オーストラリアに留学されてたんですね。現地ではどんなことを?
村瀬さん:ワーキングホリデーでシドニーに行って、現地でもまつ毛サロンでアシスタントとして働きました。求人は日本語で探せるサイトもあって、仕事を見つけること自体は難しくありませんでした。
佐藤:オーストラリアへは、最初からまつ毛サロンで修行するために?
村瀬さん:そうではないです。20代前半の頃に、海外に住んでみたいという漠然とした気持ちがあって。それを叶えたくて行きました。英語は最初ほとんどできなかったけど、技術は世界共通なので、いろんな国籍のお客様を対応できた経験が、今の土台になっています。
開業直後予約が埋まった日

佐藤:独立された5年前って、ちょうどコロナ禍でしたよね。その時期にお店をオープンするのは、勇気がいることだと思います。
村瀬さん:お店を開ける半年前に、当時働いていたサロンが閉店することになって、開業準備に集中できたのは大きかったです。お客様情報の持ち出しは禁止で、連絡もできなかったんですが、その時はやるべきことに集中していました。
佐藤:お客様がいない状態からのスタート。
村瀬さん:そうですね(笑)。今振り返ると、当時の自分の勇気にびっくりします(笑)。オープンを決めたタイミングに、Instagramで「プレオープン告知」の広告を流していました。たまたまそれを見て来てくれた方が、X(当時のTwitter)で投稿してくれて。運よく拡散されて、予約が一気に埋まりました。
当時は、まつ毛パーマ+眉の専門サロンが今ほど多くなくて、組み合わせ提案も少なかったので、新鮮に見えた部分はあると思います。
語らずにのこるもの

佐藤:Lei Incense Collectionをご利用いただきありがとうございます。「なぜサロンに香りを置こうと思ったのか」聞かせてください。
村瀬さん:香りって印象を形作るものだと思うんです。良い香りも悪い香りも、強烈に覚えていませんか? 香りは目に見えないけれど、人や場所の印象作りと直結しているので、良い空間を作るために必要だと思いました。
佐藤:その中でなぜLeiを?
村瀬さん:香水みたいな香りに惹かれました。Honey AmberとGreen Symphonyを使っているのですが、気分によって使い分けられる感じが気に入っています。Honey Amberは、優しい甘さに包まれて、リラックスできる感じ。甘いお菓子に囲まれてる気分になります。反対にGreen Symphonyは、爽やかで、森の中にいるような清々しさを感じるところが好きです。
佐藤:サロンでは、どのように使っていただいてますか?
村瀬さん:広いサロンじゃないので、1本でも十分香ります。私は半分に折って、15分くらい。消えてもしばらく残る、それくらいがちょうどいい。お客様からの反応もあり「優しくて癒される香りですね」って言っていただきます。施術中のお客様の表情も和らいだ感じがして、リラックスできる雰囲気を形作ってくれている感触があります。
佐藤:本日はインタビューありがとうございました。
編集部ノート
香りは、言葉で説得するものというより、生活や空間のリズムの中で「程よく」馴染んでいくものだと思います。
村瀬さんのサロンが“ゆとりを持つ”ことを選んだように、香りもまた、強く押し出すより、時間の中で静かに働く。
今回のインタビューで話題に出た香りは、Honey Amber / Green Symphony です。
